憲法が認めている逮捕の方式は、令状による通常逮捕と現行犯逮捕の2つであるが、刑事訴訟法はこの他の緊急逮捕というのを認めました。
これは犯罪が重大であり(死刑、無期または長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪)、その犯罪を犯したのではないかと思われるだけの理由が、十分(通常逮捕の場合は相当な理由でよい)にあり、しかし急を要するので逮捕状の発行を待っていられない場合に、まず逮捕し、その逮捕状を請求するという方式です。
このような方式を、現行犯のような令状主義の例外と同じように考えるのは非常に困難です。
現行犯とはいえないし、あらかじめ準備しておくべき令状を事後に出すことを合理的に説明することも困難だからです。
学説では、逮捕の時と令状が出された時とが時間的に接着しており、全体として令状による逮捕とみてもいい場合、あるいは、逮捕後直ちに逮捕状を請求して、その要件が厳格に守られる限り、もし逮捕状が出されないときには直ちに釈放しなければならないことを考え合わせて、この方式を合憲とする考えがあります。
しかし、合憲性は既に逮捕の時点で要求されるべきものだから、それは理由にならず、また人権保障の点で極めて危険な方式であり、違憲とする考え方も強いです。
最高裁判所は合憲としましたが、その理由は明らかではありません。
緊急逮捕することができるのは、検察官、検察事務官、司法警察職員だけであり(したがって後に逮捕状を請求する権限も、緊急逮捕の場合にはこの三者が持つ)、逮捕す際はその理由(犯罪の重大性と、嫌疑の十分生と、逮捕状が間に合わないこと)を告げなければなりません。
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