勾留は捜査のための強制処分のうちで最も重要なものの一つです。
それだけに、濫用されないよう、慎重に行われねばなりません。
憲法は「何人も正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は直ちに本人および、その弁護人の出席する公開の法廷で示さなければならない」と規定します。
これを受けて、刑訴法が設けたのが勾留理由の開示の制度です。
すなわち勾留されている被告人(被疑者も準用される)、その弁護人、法廷代理人、保佐人、配偶者、直径の親族、兄弟姉妹そのほかの利害関係人の請求があると、裁判所または裁判官は、公開の法廷において、どんな理由で勾留したのかを具体的に示さなければならない(60条1項に規定してある勾留理由のうちどれに基づいてか、またどのような資料によっているかなど)のであり、法廷で被告人や弁護人などの請求者は意見を述べることができます。
ただし、この制度本来の目的を超えて、ほかの目的に利用されるのを防ぐために、意見の陳述には、時間の制限(10分)があり、裁判長は意見を述べさせる代わりに、意見を書いた書類を提出させることができます。
しかし、逆に時間制限や書面代用が不当に使われるおそれもないではないから、このような制限には、何らかの基準を明確にすべきであるという考えがあります。(なお、口頭でさせないのは違憲の疑いがあるという考えもある)
この制度は、あくまで勾留の理由をはっきりさせることが目的であるから、勾留が理由なしとわかっても、直ちに釈放させるわけではありません。
しかし後に勾留を取り消すのは当然です。
なお、開示の結果、勾留が不当だと思えば、被告人側(請求者)は勾留の取り消しを請求したり、準抗告(裁判官に対して)、抗告(裁判所に対して)をすることができます。
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