代理権の範囲は、法定代理の場合は、規定により、任意代理の場合は、授権契約の趣旨により定まります。
ところが、実際には、契約の趣旨をめぐり争いの起きることが少なくありません。
このような場合には、本人と代理人の従来の関係、授権契約をするに至った事情などを通して代理権の範囲を確定しなければならないが、それでもなお、わからないこともあります。
そこで、民法は、代理権の範囲を確定し得ない代理人は、次の行為のみをなし得るものとしました。
①保存行為
代理の目的となっている財産の現状を維持する行為。例えば、家屋修理のための請負、権利の登記、時効の中断など。
②利用行為
代理の目的たる財産の性質を変更しない限度で収益を図る行為です。
例えば、金銭を銀行に預け、家屋を賃貸する行為など。
③改良行為
代理の目的である財産の性質を変更しない範囲でその経済的価値を増加する行為。
例えば、宅地の地ならしのための請負、無利息の貸金を利息付に改める行為など。
管理という言葉は多義的だが、法律家の間では、以上三種の行為の総称として管理行為という言葉が用いられています。
管理行為に対するのは、売却・質入れ等の処分行為です。
コメント 0