敷引特約がある場合、賃貸人は、目的物が明け渡された時点で上記のような賃借人の債務がなかったとしても、敷金からあらかじめ特約で定めた金額を控除する。
消費者が賃借人である賃貸借契約における敷引特約については、消費者契約法との関係でその有効性が問題となっている。
この点、最高裁判所平成23年3月24日判決(民集65巻2号903頁)は、「消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は、当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額、賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り・・・消費者契約法10条により無効となる」と判示している。
この判決によれば、消費者が賃借人である賃貸借契約における敷引特約については、敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には、原則として無効となるものと解される。
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