平成16年改正前の不動産登記法では、登記原因の無効や取消しを理由として、裁判所に登記抹消や登記回復の訴訟が起こされた場合、その裁判所の嘱託によって記入される登記を予告登記として規定していました。
例えば、AとBとの間に売買などがないにもかかわらず、地面師のBが、勝手にAの印鑑などを偽造して、Aの土地をBの名義に移転登記をしてしまった場合、AはBを被告としてB名義登記の抹消を求める訴えを起こすこととなるが、この訴訟の最中に、Bの登記を信用して、Bから土地を更に買い受けた第三者は、訴訟の結果いかんによってとんだ損害を受けたりします。
そこで、一般の第三者に警告するため、現在この土地(建物)につき訴訟が起こっているという事実を公示するように、裁判所が登記所に嘱託して、その旨を記入させる登記がこの登記で、単に警告の効果を持つだけで、登記としての対抗力はありませんでした。
しかしこの予告登記の制度は、かねてから悪用されるおそれや存在意義の乏しさ等が指摘され、平成16年の改正によって廃止されています。
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