民法第121条 取消しの効果
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
解説
本条では、制限行為能力者を保護するため、行為の取消しをおこなった制限行為能力者に限り、現存する利益だけを返還すればよいことになっています。
現に利益を受けている限度とは、現に残っている限りの利益をいいます。
このため、制限行為能力者が処分してしまい、すっかり使ってしまったものに関しては、返還する義務はありません。
なお、生活費として金銭などを使った場合は、原則として、現存利益として残っているものと考えられています(大審院判決大正5年6月10日、大審院判決7月10日26日など)。
これに対し、ギャンブルで浪費した利益は現存しないものとされます(最高裁判決昭和50年6月27日)。
この点について、制限行為能力者以外の取消しをおこなった者は、すべての利益、つまり不当利得(第703条・第704条参照)を返還しなければなりません。
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