無権代理人が本人を相続した場合
①無権代理人が単独相続した場合
判例は「本人が自ら法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたものと解するのが相当」(最判昭和40・6・18民集19巻4号986頁)として当然に有効なものとしている。
②無権代理人が他の相続人とともに共同相続した場合
判例は本人の追認権は全ての共同相続人に不可分的に帰属するとして、「他の共同相続人全員の追認がない限り、無権代理行為は、無権代理人の相続分に相当する部分においても、当然に有効となるものではない」(最判平成5・1・21民集47巻1号265頁)とする。
③本人による追認拒絶後に無権代理人が本人を相続した場合
判例は「本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない」としている。
④本人が無権代理人を相続した場合
判例は相続人である本人が無権代理行為について追認を拒絶しても信義則には反しないとして、「被相続人の無権代理行為は一般に本人の相続により当然有効となるものではない」(最判昭和37・4・20民集16巻4号955頁)とする。
ただし、判例は本人が無権代理人を相続する場合にも相続の対象には民法第117条による無権代理人の債務が含まれるので、この債務については「本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあつたからといつて右債務を免れることはできない」とする(最判昭和48・7・3民集27巻7号751頁)。
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