代理権消滅後の表見代理とは?
第112条(代理権消滅後の表見代理)
代理権の消滅は、善意の第三者に対抗することができない。
ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。
なお、本条の「代理権の消滅」には、法定代理の代理権も含みます(大審院判決昭和2年12月24日)。このため、本条は法定代理にも適用されます。
また、本条は、いったん存在した代理権が消滅した場合の規定であり、初めから代理権が存在しなかった場合はには適用されません(大審院判決大正7年6月13日)。
成立要件
1 代理行為時には代理人の代理権が消滅していたこと
代理人を信頼して過去に代理権を与えた点に本人の帰責性が認められる。
2 かつて代理人が有していた代理権の範囲で代理行為がなされたこと
かつて存在した代理権の範囲を越えて代理行為が行われた場合は、112条と110条との
重畳適用が問題になる。
3 代理人の代理権の消滅につき相手方が善意・無過失であること
表見代理は相手方の信頼ないし取引の安全を保護するための制度であるから、112条の場合にも
相手方の善意無過失が要求される。
109条の場合と同様、その証明責任は本人が負う。
すなわち、本人が責任を免れるためには、相手方が代理権の消滅を知っていたこと、あるいは
知らなかったことに過失があったことを証明しなければならない。
代理権が消滅しても、相手方はその事実を知らないのが通常だからである。
今日のちょこ
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