時効取得を原因とした所有権移転登記
時効による取得は原始取得とされています(民法289条及び397条参照)。
しかし、所有権を時効により取得した場合に申請できる登記は所有権移転登記であって、未登記不動産についてのみ所有権保存登記申請になります(明治44年6月22日民事414号回答)。
なお、不動産の持分の時効による取得は可能であり、「時効取得」を原因とする持分全部移転登記の申請もすることができます。
また、原始取得であるので、目的不動産又は権利に付着している権利(抵当権等)については消滅します。この消滅に係る抹消登記は職権によりできる規定が存在しないので、当事者の申請により行います。
登記の目的 所有権移転又はB持分全部移転
登記原因及びその日付 平成 年 月 日時効取得
point1
登記原因は「時効取得」であり、原因日付は占有を開始した日つまり、時効の起算日になります。起算日については争いがあり、学説は、民法140条の期間計算の原則(初日不算入)に従って「権利の占有開始の翌日」としていますが、登記実務は「占有開始日」としています。
原因日付を「年月日不詳」とする登記申請は、当事者の共同申請による場合はできませんが、確定判決による登記申請であり、当該判決主文又は理由中に時効取得の起算日の日付が明記されていない場合はできます。
権利者 A
義務者 B
添付情報 登記原因証明情報
登記義務者の登記識別情報 又は 登記済証
印鑑証明書
登記権利者の住民票
point2
一方、農地又は又は採草放牧地(農地法2条1項)を時効により取得した場合でも、農地法3条の許可書(不動産登記令7条1項5号ハ)を添付する必要はありません。
また、相続財産管理人(民法952条1項)や不在者財産管理人(民法25条1項)が登記義務者として時効取得を原因とする所有権移転登記を申請する場合、家庭裁判所の許可書(不動産登記令7条1項5号ハ)を添付しなければなりません。
登録免許税 所有権の場合、不動産の価額の1,000分の20
用益物権・賃借権・採石権の場合、不動産の価額の1,000分の10
担保物権の場合、債権金額又は極度金額の1,000分の2
今日のじじ
あっかんべぇ~
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